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ペット 檻の中の乙女の消費者のレビュー・感想・評価

ペット 檻の中の乙女(2016年製作の映画)
3.7
・ジャンル
サイコスリラー/ホラー/サスペンス

・あらすじ
動物保護センターで働く冴えない青年セス
彼は薄給で職場でも孤独な日々を無気力に過ごしており、唯一の友人はといえば保護された犬達だけだった
そんな中、ある日の退勤中に高校時代の後輩だった女性ホリーと出会う
セスはすぐさま恋に落ち彼女に話しかけるが覚えられてさえなく釣れない反応
それでも諦めずに彼女の情報を調べ上げ尾行し必死にアピールを繰り返すのだがその末に彼女の元婚約者エリックに殴られる始末…
しかし彼は尾行を辞めずとうとうホリーを誘拐し職場の地下室へと閉じ込めてしまう
セスにとってそれは彼女の抱える狂気から“救う”為の行動だった
だが日々、彼女の世話をする内にむしろセスの方が蝕まれていき…

・感想
孤独な青年が恋と妄想に溺れ女性を拉致監禁する、というよくあるストーリーかと思いきやホリーの正体が露わになっていくにつれ思いもよらない方向へ話が進んでいきなかなか面白かった
ほぼワンシチュエーションながら心理戦が狂気的でゴア描写も見られるしオチも申し分ない
それだけに随所に見られる粗がどうしても気になってしまったのが惜しい

ホリーのマニピュレーター型のサイコパスさとセスの歪んだ愛情という組み合わせは確かに惹き込まれる
でも過程の描かれ方が少々雑な感じがした
どうやって完全犯罪を成し遂げたのか?
ラストのホリーの行動は刑事もいる中、どう完遂させたのか?
そういった部分にフォーカスが当たらないまま終わってしまうのは心理戦に軸を置いている作品としては致命的な気がする

またセスの蝕まれていく様子ももっと病的であった方が緊迫感が生まれていたと思うしホリーが“飼育”下に置かれる中での不快描写も欲しかった
犬同然の状態である事を強調しながら糞尿や吐瀉物などが見られないというのは狂気を演出する上で物足りない
「August Underground」シリーズほどまでは行かないにせよもう少し露悪的にそこは突っ走って欲しかった

そして2人の背景についてもあっさりし過ぎていて勿体無い
そこを描いていれば心理戦もより厭な方向へと進められただろうし…(例えばセスが児童虐待に遭っていた、とかいじめられっ子だった、とか)
そうなっていたらセスの掌握のされ方も更に陰惨に出来ていたんじゃないかな、と

恐怖より狂気を軸としている以上、個人的にはどうしてもいわゆるDisturbing Movie性を期待してしまうんだけどそれが満たされなかったというのが残念というのが総合的な感想
世界観や展開は結構好きだったんだけどね…
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