シャチ状球体

軍旗はためく下にのシャチ状球体のネタバレレビュー・内容・結末

軍旗はためく下に(1972年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

何故夫は戦地で死刑になったのか。4人の関係者の証言が二点三転する中、真実が暴かれていく。

戦時中に大量の自国民を無駄死にさせ、戦争が終わっても何も責任を取らなかった天皇・裕仁と軍部への憎しみ、怒り、諦念がこの映画には渦巻いている。深作欣二作品はいつもそうだけど、この映画も含めて仁義なき戦いシリーズ、『バトル・ロワイアル』といった作品群には責任を取らない大人たちとそれに捨て石にされる若者が常に描かれている。

最初は天皇と一緒に献花台で花を供えたいと思っていたサキエが、ラストシーンでは一転して供えられなくて良かったと心中を漏らす。A級戦犯、ひいてはその孫が総理大臣になるような狂った国に生きる人々は、サキエ意図を知る由もないだろう。

涙、涙、涙。劇中で必死に溢れだそうとする感情を堪えているのはまともな人たちばかりである。そして、その人は達は皆地位の低い人ばかり。捨て石にされるのはいつも末端。
シャチ状球体

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