KAJI77

許された子どもたちのKAJI77のレビュー・感想・評価

許された子どもたち(2019年製作の映画)
3.9
「我々は知っているものしか目に入らない。」

ゲーテ(1749~1832)

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

かなり考えさせられる作品でした。とても良かったのではないでしょうか…?😌

関係してしまった人間、関係しようとする人間、関係のない人間。
相容れない三つ巴の、「日本社会」という輪郭のない坩堝。
「正義」という様々な主観が混在するこの世界において、リアルタイムで何が正解なのかは定まることはありません。
そこにある解答はあくまで「最適解」であって(しかもそれが"最適"かどうかは、概ね人間の技量では判断がつかない)、法律や罰則などの規定はあれど、そこにはまだまだグレーな部分や例外が弾き出される可能性は十二分にあります。
その例えが、今作でテーマとなった「少年法」に纏わる責任能力の有無などの話や「いじめ問題」の話です。

正直なところ、なんだかとてもドライなこと言ってしまうようで申し訳ないですが、やはり全員が平等というのはなかなか無理があります。「皆違ってみんないい」と刷り込んで起きながら、「皆同じじゃなきゃ対等になれない」という正義を振りかざすこの社会は構造からして破綻しているような感じもします。
「人にされたら嫌なことはしたらダメ」と言われても、「人にされたら嫌なこと」というのは人によって違うのです。

人を殺めてしまい、反省する機会や隙もなく、第三者から勝手に"許された"13歳の子供たち。
許す、許さないの作用・反作用の、この単調な関係式の一体どこに第3の目が介入する余地があるのでしょうか。この作品を見ているとそこが引っかかってきました。

「加害者側にも配慮しろ!」という事ではない。「被害者のことも考えろ!」でも無い。この作品のメッセージは、「自分の関係ないことには口を挟むな!」ということなんだと僕は感じました。

兎にも角にも非常に良い視点を持った作品かと思います!高評価です。☺️☺️☺️
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