MasaichiYaguchi

探偵はBARにいる3のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

探偵はBARにいる3(2017年製作の映画)
3.8
あの探偵と高田の名コンビが久し振りに帰って来た。
東直己さんの「ススキノ探偵シリーズ」を大泉洋さんと松田龍平さんの共演で映画化したシリーズも3作目なので、監督が橋本一さんから吉田照幸さんに代わっても、ツボに嵌った古沢良太さんの脚本といい、拷問シーンが何故か笑いを誘う探偵や、普段は飄々としているが、いざとなると強さを発揮する高田等、お約束事はしっかり押さえられていて安定感は抜群だ。
この作品では、失踪した女子大生の捜索依頼を受けたことから、探偵と高田が思わぬ大きな事件に巻き込まれていくのが描かれていく。
今回のキーパーソンとなるのが北川景子さんが演じるモデル事務所オーナーの岬マリで、そして事件の背後にはリリー・フランキーさん演じる、裏社会の顔も持つ大物実業家の北城がいる。
女子大生失踪が北城配下の幹部の強殺や自殺事件と繋がっていき、探偵と高田は、当初の簡単な依頼仕事のつもりが厄介事の深みに嵌っていく。
事件の中心にいる人物の狙いは何なのか?
危険だと分かっていても、美人から頼まれると嫌と言えないで、最後まで依頼人を守ろうとする探偵の姿勢は今回も変わらない。
そんな探偵を何やかや言いながらアシストする高田もいつも通りだが、今回は「鬼強」の彼でさえ歯が立たない相手が登場する。
本作では「命を燃やすもの」がテーマになっていると思うが、一連の事件の中心人物にしろ、この厄介事を引き受けた探偵にしろ、客観的に考えると、その行動に「何故?」という思いを強くするが、人は時に理屈や損得を度外視した行動をしてしまうもの。
戦国武将の中で一、二を争う人気の真田信繁(幸村)の名言ではないが、「いざとなれば損得を度外視できるその性根、世のなかに、それを持つ人間ほど怖い相手はない」という事なのかもしれない。