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三度目の殺人のevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【true fault and false truth】

謎めいた被告三隅の事件を取り巻く、関係者達の人物描写が秀逸でした。

真実を明らかにすべき法廷で、誰も真実を語らない。真相解明とは程遠く、心象操作や法曹界の「大人の事情」「仕事の都合」で、量刑の計りはどうにでも傾いてしまう。

三隅による最初の殺人が、借金取り2人組と言っていたように思ったので、これが「3人目」の殺人?と普通に数えていましたが、なるほど、これは司法による三隅の殺害である可能性がありますね…。

誰を裁くかを決めるのは誰なのか。
借金取りを裁いた(つもり?の)三隅。
三隅を裁いた裁判官。
咲江の父親を裁いた(=咲江を守った)三隅。
ついでに咲江の母親も裁こうとした(道連れにしようとした?)三隅。
そして「生まれて来なければ良かった」ような自分自身も裁くために、司法を翻弄する三隅。
空の器に死刑という重石を入れてしまった司法は、いつか裁かれるのか。
真実を直視しようとした為に、本来の役目を果たせなかった重盛弁護士は、裁かれるべきか。
咲江は十字架の重さに耐えて生きていくのか。

振り込まれた50万円は、偽装加工についての口封じ?目的の退職金?だったのでしょうか。

練りに練った筋書きで、後半はとても頭が疲れました。無意識に真実の意外性を求めていましたが、論点はそこではありませんでした。題材となる事件そのものは、描き方によっては火曜サスペンス程度に予想がつくレベルの、ありふれたものと思います。それをここまでの司法ドラマに仕上げています。

嘘なのか、本当なのか。
人間は嘘をつけるから本当にややこしい。
心の内に秘められた真実は、人と人との温もりを通してしか伝わらないのかも知れません。

それにしても斉藤由貴さんが… 現実と被りすぎ😅
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