このレビューはネタバレを含みます
この作品をミステリにカテゴライズするのは危険だと思った。
一般的に、ミステリは最後に謎が解けて、全てがスッキリして終了する。
この映画はそれではない。
事実を並べ立てて、正解を示さない。
ミステリを求めて劇場に行った人は何を見せられたのか戸惑うだろう。
この映画は、法廷が舞台の人間ドラマなのだ。
役所広司演じる三隅に翻弄され、彼に引き込まれ、世界が謎に包まれる。
三隅に善を求めるのか、悪を求めるのか。
性善説を信じる人間には、理解に苦しむ世界かもしれない、と勝手に思ってみた。
ドキュメンタリーの様な風景に、戸惑いながら、我々が生きる世界の濃縮図を見た気がした。
三隅に想像した姿は、我々が望んだ姿でしかないのかもしれない。
役所広司の素晴らしさだけは、特筆ものだった。