このレビューはネタバレを含みます
普通にサスペンスだし面白くはあった
考えさせるテーマだし
ただ このイマイチしっくりこなかったのはなんだろう
人が人を裁くことの不条理さについて書かれた
似たような内容の小説を
つい最近読んでしまったばかりだからかもしれない
それともこの作品の奥行きの部分を読み取れきれなかっただけなのかもしれない
なんてゆうか監督だって答えはわからなくて
だとしたら俳優も答えがわからないまま
なぞっているような
つまり誰が殺したか決まってないんじゃなかろうか
なんてそんなことを感じるくらい
サスペンスなのに張られた伏線を回収しきれなかったもやもやのせいで
登場人物に感情移入できず表面だけをさらっている映画に感じた
全然退屈はしない映画だし
真相は重盛が三隅に語ってみせたことが答えだとは思うんだけれど
それでもすっきりしないところがあって
咲江の工場の屋根から飛び降りた話はなんのためにいれられてたのかとか(レイプ被害で起こった心の歪み?それとも真相をわかりづらくするため?それとも真実?)
1度目の殺人はたんに人間を裁きたかっただけなのか
(三隅は裁くことに関して固執しているよう)
それとも人の感情を自分に取り込んでしまう能力のせいで
被害者にたいする周りの人間の悪意を吸収してしまったのかとか
(十字架が示すように三隅はキリストの象徴で誰かの罪を被っているというのも脳裏によぎったけれど
三隅は浮き世離れしたところがあるからこそどちらの面も持ち合わせた人間として描きたいんじゃないかと感じた)
2度目の社長殺しが咲江を助けるためで
人として愛情深い一面のある人間だったとして
であれば
かわいがっていたカナリアを5羽も殺す残虐性というか無頓着さと
自分自身への執着の無さが不可解で理解し難かった
空っぽの器のようだと形容されていた三隅を通して制作者は何を伝えたかったのか
こんなに考え込んでる私はまんまと監督の意図にはまってるよなあ。