ぎゅう

聖なる証のぎゅうのネタバレレビュー・内容・結末

聖なる証(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

実話に基づく話だという。
4ヶ月も食べないで神聖視されている少女が
イカサマか本物の聖なるものなのかを見極めようと
有志の委員会が
看護師と修道女を雇って14日間昼夜を問わず監視する話。

食べずに生きていけるひとたちのことをブレサリアンと呼び、今も一定数存在しているというか自分がそうだと主張している人たちがいて、
私は実はどこかでそういう怪しげな神秘的なものを信じている節があるのだけれど

実話の方がどういう結末を辿ったのかは知らないが、この少女は本当にブレサリアンだったのではと少し思っている。

映画では少女が、ある罪の意識から断食を行なっており、しかしながら母親が聖なるキスで食べ物を口移していたから生き延びていたということになっている。しかしながら主人公である看護師がその点について言及したことでそこからの経路が経たれ餓死しかける。

看護師は彼女に彼女自身が生まれ変わり罪から救済されたととき、村から逃して命を助ける。
エンディングは虐待ともとれる、断食生活から少女を救い、新しい人生を手に入れることができて私たちの価値観からすると、少女はとても幸せな道に進むことができたようにも見える。

一方で、村の人たちの文化や価値観に構わず西洋的価値観で土足で踏み込む主人公は
彼らの尊厳や精神を尊重していないような気がして少し不快にさえ写る。


結果的に宗教の呪縛から逃れて幸せだったのであれば、盲目的な世界から目を覚まさせて幸せともとれる一方で
それらの価値観は自分達の見方の押し付けであって傲慢なのではと、
善悪や倫理観について考えさせられた。

そして何より食べていないと信じられている少女の人間離れした寛容さよ

もう人生何周もしてるんじゃないかと
思えるくらい
達観したような佇まいと
周りの彼女への仕打ちへの寛容さ

食べないことよりもその彼女の性質に
宗教的な神秘を感じて、感動した。
ぎゅう

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