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ふたりの J・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.3
サンフランシスコ。親元を離れた10代の少女サヴァンナ(クリステン・スチュワート)は、兄ジェフ(ジム・スタージェス)のパートナーで作家のローラ(ローラ・ダーン)と出会う。
ローラは自分の小説を“J・T・リロイ”という架空の美少年名義で出版し、ベストセラーになっていた。
そんなローラに頼まれ、男装してJ・Tに扮するサヴァンナ。最初は遊び半分だったものの、やがて小説の映画化が決まり、ハリウッドやカンヌで大勢の観衆の前に出続けるうちに、サヴァンナはJ・Tとして出会った相手で自身の小説を映画化するエヴァ(ダイアン・クルーガー)に本気で恋してしまうが、自分の中の揺れ動くセクシュアリティとアイデンティティに混乱して苦しむ。
やがてエヴァに本当のことを言ってしまおうとサヴァンナは、決心する。だが、マスコミは、サヴァンナがJ.Tリロイを演じていることを嗅ぎつけてしまう。
アメリカの文壇やハリウッドを震撼させた「J.Tリロイ」にまつわる騒動を元にした映画。
ローラは、自身の家族に虐待された経験などの苦しみや痛みを表現するために「J.Tリロイ」というアバターが必要だった。
サヴァンナは、バンド活動している兄貴のジェフに刺激されクリエイターになりたい願望があり、自身の女性性に違和感があるバイセクシュアルで、そんな自身を隠していた。
お互いに自身を表現するために理想の自分になるため必要で依存し合っているのに、注目され名声を独り占めしているのがリロイを演じてるサヴァンナであることに嫉妬してふたりの関係が崩壊していく展開が、J.Tリロイについてのドキュメンタリー映画よりローラとサヴァンナの心理や葛藤に肉迫しているし、ローラの拗らせた内面を演じ切ったローラ・ダーンもさすがだが、バイセクシュアルであり2人のアイデンティティを演じる中でアイデンティティとセクシュアリティに揺れ動くサヴァンナが自身のセクシュアリティに揺れ動くクリステン・スチュワートにドハマりしていて、作品と作者と内面そして虚構とリアルの関係に肉迫した映画に仕上がっていた。
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