けまろう

ヒトラーに屈しなかった国王のけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

『ヒトラーに屈しなかった国王』鑑賞。ノルウェーの国事に焦点を当てる作風は好み、かつ映画としてのクオリティが高い。
前半、ドイツ軍の姿が確認できないままどんどん侵攻が進む様子が恐ろしい。敵が見えないまま攻められる、というのは『ダンケルク』で感じた恐ろしさに近い。特にサーチライトで敵軍艦を探すシーンは非常にスリリング。
ノルウェーの初代国王ホーコン7世と王子オラフの衝突や闘争劇などは基本的に退屈で、ヒトラーとの直接交渉があるやと思いきやかなり地味である。その一方、ドイツ大使ブロイアーの奔走ぶりが丁寧に描かれているのが素晴らしい。駐在先であるノルウェーへの想いとヒトラーの命の間で揺れ動き、身を削った交渉に臨む姿は必見。とは言え、ノルウェーをどううまく統治できるかという視点であり褒められたものではないが、当時の状況下でヒトラーに背く行為をとった勇姿には心動かされる。
祖国愛、愛国心は美しい。ただ、ホーコン7世だけを賛美するのではなく、その裏ではあった努力にも目を留められるいい映画であった。
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