ヒトラーに屈しなかった国王の作品情報・感想・評価

ヒトラーに屈しなかった国王2016年製作の映画)

Kongens nei/The King's Choice

上映日:2017年12月16日

製作国:

上映時間:136分

あらすじ

1940年4月9日、ナチス・ドイツ軍がノルウェーの首都オスロに侵攻。ドイツ軍の攻撃に交戦するノルウェー軍だったが、圧倒的な軍事力によって、主要な都市は相次いで占領される。降伏を求めてくるドイツ軍に対しノルウェー政府はそれを拒否し、ノルウェー国王のホーコン7世は、政府閣僚とともにオスロを離れる。一方、ドイツ公使は再度の降伏要求のため、ノルウェー政府に国王との謁見の場を設けることをつきつける。翌日、…

1940年4月9日、ナチス・ドイツ軍がノルウェーの首都オスロに侵攻。ドイツ軍の攻撃に交戦するノルウェー軍だったが、圧倒的な軍事力によって、主要な都市は相次いで占領される。降伏を求めてくるドイツ軍に対しノルウェー政府はそれを拒否し、ノルウェー国王のホーコン7世は、政府閣僚とともにオスロを離れる。一方、ドイツ公使は再度の降伏要求のため、ノルウェー政府に国王との謁見の場を設けることをつきつける。翌日、ドイツ公使と対峙した国王は、ナチスに従うか、国を離れて抵抗を続けるか、家族のため、国民のため、国の運命を左右する究極の選択を迫られるー。

「ヒトラーに屈しなかった国王」に投稿された感想・評価

いち麦

いち麦の感想・評価

5.0
第二次世界大戦下、ドイツに屈した北欧諸国の中で独自の判断と行動を取ったノルウェー。大国の関与で半ば否応なく攻め入られた戦争に、中立の立場を取ろうとする立憲君主国の国王がどう立ち向かえるか。激しい戦線描写も交えながら、一緒に敗走する閣僚や異なる考えを抱く皇太子、板挟みのドイツ公使、即席傀儡政権との関係が非常に興味深い。孫達と遊ぶ微笑ましい姿。見応え充分な戦史ドラマだった。
ナチスは映画作品の大半の悪を背負ってんな。それにしても憎たらしいわ。
Solaris8

Solaris8の感想・評価

4.3
12/16 シネスイッチ銀座で「ヒトラーに屈しなかった国王」を観てきた。

ノルウェーは1905年にスウェーデンから独立し国民投票でデンマークからカール王子を国王として迎え、新憲法の下、立憲君主制の新生ノルウェー王国を樹立する。

世界史をネットで調べると、日露戦争で日本が勝利した事がトルコ、ノルウェー、フィンランドの独立に影響を及ぼしたと云うが、確かに昔、高校の世界史で、そんな事を習った記憶が在る。

1940/4/9 ドイツ軍はノルウェーとデンマークに攻撃を開始する。ノルウェー国王の兄が国王のデンマークは瞬く間にドイツ軍に包囲され、為す術なく降伏するが、ノルウェーは国王や政府がオスロを脱出し、拘束を免れた。

映画はノルウェーの1940/4/8から3日間の出来事を時系列で追いかける。事件が起きた日と時刻、場所が字幕に映し出される為、映像には史実のような緊張感が在る。

途中、ミッツコーゲンの農場でノルウェーの少年兵達が国王や政府に迫るドイツ軍を止めるべく、闇夜の雪灯りの中、オレンジ色の閃光が飛び交う銃撃戦を展開するが、冷たいノルウェーの雪の大地が、迫真の緊迫感を産み出す。

その戦闘で負傷し意識を失った少年は直前に、国王から労いの言葉を受けていたが、少年兵が「全ては国王のため」と返すと、国王は「祖国のためだ」と嗜める。

ノルウェーは立憲君主制の国だが、国王は国民が選んだ国王で有り、国王自身も民主主義の自国の事を誇りとしていた。この映画の原題は「国王の選択」なのだが、国王はドイツの傀儡政権の承認要求等を拒み戦争になる。ネットで調べると国王は亡命し、ノルウェーは6/10、ドイツに降伏する。

国王として祖国の為、民主主義を守る信念を貫く重みと拒んだ事に拠り、二ヶ月間の戦争で失う命の重みのどちらが重かったのかは、1945年6月、亡命していた国王が凱旋帰国し、ノルウェーが今でも立憲君主制で在る事に答えが有るのだと信じたい。
国民から選ばれたことへの責任を果たそうとする国王が印象的でした。

平和を願いながら降伏を迫っている、という国王のセリフがこの時代に生きた人たちの葛藤を良く表している気がします。

白夜と銀世界どちらも幻想的で美しいけれど、その静けさが余計に沁みました。
FraFil

FraFilの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

史実に基づいたフィクションではあるが、この映画を観る前と観た後で、ノルウェーに対するイメージががらりと変わった。
同時に、(個人的に右寄りでも左寄りでもないが)同じ立憲君主制を敷く日本という国、天皇陛下という存在について、深く考えるきっかけになった。

時系列に話が進むので歴史モノを観ているという印象を受けつつも、ハンドカメラで撮られた臨場感溢れる映像や、全編に渡る国の危機という緊迫感により、最後まで目を離すことができなかった。特に、ドイツ軍の艦船が突如霧の中から現れたシーン、ドイツ軍を待ち伏せして銃撃戦になるシーンは手に汗握った。

一方で、一番印象に残ったシーンは、祖父であるホーコン7世が孫たち家族と離ればなれになるところだった。国の一大事に翻弄される王族一家の心理描写も非常に丁寧になされており、もし自分が同じ状況に置かれたら、愛する人のために、祖国のために、家族と離ればなれになることができるだろうかと考えた。

ホーコン7世は、最後まで「祖国のため」という姿勢を貫いていた。自分だけでなく、家族や国民を犠牲にしようとも、祖国のことを第一に考えた。この映画で描かれた3日間の後も、戦争が終わるまで、ナチスドイツに抵抗を続けた。
ノルウェーでは2016年に公開され、社会現象になるほど大ヒットしたというが、ノルウェー国民にも、きっと王の想いが引き継がれているのだろう。自分を犠牲にしてでも、祖国を守ろうとする姿勢。もしこの時代に家族同士、国民同士で分裂していたら、国は滅びてしまっていたかも知れない。

日本も同じく国のトップ?がいるわけだが、ノルウェーとは何かが違うと感じる。もし日本が同じ状況に置かれたら、その時の天皇陛下はどう決断を下されるだろうか、と想像する。同じように国民のために動いてくださると思うが、今は政治への介入が厳しく制限されているから、結果日本が応戦するか、降伏するか、わからない。
また、最近話題の内容だが、例えば、周りの国から軍事的圧力を受けてどうしようもなくなったとき、日本の政治家たちは天皇陛下に助けを求めるだろうか。何だかアメリカに助けを求めそうに思うのは気のせいか。やはり日本は、ノルウェーとは似て非なる存在なのだろうか…。

余談だが、アナ雪はノルウェーがモデルらしいので、皇太子の「オラフ」という名前は絶対忘れなそうだ笑。彼は、父とはまた別に国民の目線で庶民的に生きた、すばらしい王だったとどこかで読んだ。ホーコン7世と彼と、どちらの主張が正しいとかはないと思う。ホーコン7世の兄が王だったデンマークはナチスに降伏したが、それも間違いではないと考える。

そして、全体を通してホーコン7世は無言を貫くシーンが多いのだが、自分はまだ年老いていないし子供もいないので、国王が何を考えてるのかよくわからない部分が多かった。どちらかというと、子供という観点、守られる立場から観てしまっていたように思う。
早く逃げなきゃいけないのにもう一度家に戻る国王を「また帰ってこれるよ」と優しく諭す皇太子…自分はそうできないかもと思った。「早く来て!」と少しイライラしてしまった。子を持ったり歳をとったりすると変わるんだろうか。

映画の題名からは、どんなことにも折れない屈強な人物かと思ったが、がんこで腰も悪いしよろよろしているおじいちゃんで、最初は「思っていた雰囲気と違うな」と思ったが、移動ばかりで疲れていても、ここぞというときには声を張り胸を張り堂々とする場面を観て、ここ数年話題となった天皇陛下の退位についておもいをはせた。年老いたとしても、ホーコン7世は芯はものすごく強い人だったのだろうと想像した。

心残りは、交渉人が報われずとても不憫だったこと。フィクションなのかも知れないが…。
最後が字幕で片付けられていて驚いたが、決断の3日間にフォーカスを当てているということで、納得して会場を後にした。

非常に良い経験をさせていただいた。
ゴン吉

ゴン吉の感想・評価

3.8
ノルウェー本国では、3週連続1位を記録し、2016年の国内映画興行成績1位を獲得し、国民の7人に1人が鑑賞したそうで、国王がいかに国民から愛されているのかが伺えます。

隣国のデンマーク国王は、抗戦を選ばずにドイツへの服従を決定。
一方、ノルウェー国王は国家主権を守るためにドイツとの戦争を選択、それと引き換えに、多くの国民の犠牲を払ったことも事実ですが、犠牲に関しては殆ど描かれていなかったのが残念でした。
難しい問題ですが、この辺を丁寧に描いていれば、もっと骨太な社会性の高い作品になったと思います。

雪国ならではの映像は奇麗でした。

ノルウェーの歴史を知らなかったので、勉強になりました。
KUBO

KUBOの感想・評価

3.8
11月12本目の試写会は「ヒトラーに屈しなかった国王」。

ドイツがノルウェーに侵攻した日からの数日間を描く「ノルウェーのいちばん長い日」のような作品。

中立国は安全と思っていたノルウェーに、突然ドイツ軍の侵攻が始まる。オスロはたった50人の兵力で一晩で制圧されてしまう。

平和ボケしている今の日本も人ごとではない映像が続く。「まさか」と思っているうちにあっという間に侵略の魔の手が伸びる。

「ハクソーリッジ」のようなド派手な戦闘シーンではないが、日常の延長に戦闘があることで、かえってリアルで恐ろしい。

ただ本作の主題は「兵力」の問題ではなく、ろくな武力を持たない小国であっても、自らの「独自」の根幹をなす「理念」にある。

「ドイツは貴国の『立憲君主制』を尊重しています」
「いえ、我が国は『民主主義』です!」

本来、政治的発言はしないことになっていた「国王」が、国難を前にして下した決断とは…?

国王役のイェスパー・クリステンセン、ドイツ公使役のカール・マルコヴィクス、共に素晴らしい演技。見応えのある作品だった。

「全ては祖国のために」
なつ

なつの感想・評価

3.6
1940年4月、ナチスから降伏を迫られた国王の3日間が描かれた本作。
『この国の行く末は密談によって決まるのではない。
国民の総意で決まるのだ』
この台詞は、グッときた。
(ホーコン7世は、ノルウェーで初めて国民投票で選ばれた国王)
何が、どうするのが正しかったのかは、わからない。
だけど、国王はきっとどの選択が
“正しい”のかを苦悩し続けたのではないだろか。
本作はノルウェーでは大ヒット。
国民の誇りであることは、間違いないのだろう。

フォロワーのkyokoさんと、ご一緒させて頂きました。
映画談義がとても楽しかったです。
kyoko

kyokoの感想・評価

3.6
(フォロワーなつさんのご好意で、試写会にご一緒させていただきました!)

1940年4月9日、ナチスドイツ軍はノルウェーを侵攻、抵抗するノルウェーに対し、最後通告として国王との謁見を要求した。
「全ては祖国のために」を信条とする国王が、降伏か戦争かの決断をくだすまでの3日間を描いた作品。

邦題のネタバレ具合が凄まじい(笑)

独立のために戦った歴史を持たない日本人には、国民を危険に晒してまでも守らないといけない国家としての矜持というものを理解するのはちょっと難しい。
(「日本のいちばん長い日」の天皇の心境が近いのかもしれないがあいにく観てないので分からない)

どちらかといえば、交渉役となったドイツ公使の苦悩のほうが胸に迫るものがあった。

デンマークは早々に降伏を決めた(戦後はあの「ヒトラーの忘れ物」に続く)。デンマーク国民はどういう気持ちでこの作品を観るんだろう。。
マスコミ試写会@京橋テアトル試写室 15:30開映

邦題が悪すぎる
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