「ゴースト・ストーリー」というと、僕はピーター・ストラウブのモダンホラー名作を思い出してしまうのだけど、作品のタイトルに堂々と「物語のサブジャンル名」をそのまま冠してしまうというのは、そのサブジャンルを突き詰めるという意志の表れのように思えて、ストラウブのそれもまさにそういうことをしようとしたものだったので、ここにもそのようなストレートな作り手の思いが確実にあるのだろうと思って見たらその通りそれがきちんとあった。
2010年代にそれをするということは、ただモダンホラーのように幽霊が怖いということを示す必要からなのでは当然なく、むしろ幽霊になること、幽霊として実存することが怖いという角度も映画としてスタンダードサイズの画面に定着させておかなければならなかったということでもあり、それこそ劇伴の素晴らしさも含めてなのだが、サブジャンルへの大変に美しい奉仕になっているように思う。