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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのdeadcalmのレビュー・感想・評価

4.7
事故で死んだ男がシーツをかぶったオバケの姿で生前の恋人の家で地縛霊する話。

ゴーストの姿が、マジで今どきハロウィンの子どももやらないような目が二つついたシーツなので笑ってしまうけれど、そのシュールなユーモアとは裏腹に演出はかなりセンチメンタル方向に振ってて、これが実はメチャクチャ当たりだった。

最初、やたらと長回しのカットが多くて (恋人を失った女が差し入れのパイを10分くらいずっとヤケ食いするシーンはなかなか凄かった)、 若干観るものを試してる感はあったけど、フェルメールの絵画のような止め絵の多いアーティスティックな構図やポストロック・モダンフォーク的な音楽はかなりレベルが高い。

幽霊になると時間の流れの感覚が変る設定らしく、ワンカットの中で時間が飛躍する演出が多いんだけど、難解でもなく洗練された感じで巧い。

ストーリーも良く、中盤以降は出だしからは想像しにくいすごい展開で、前半の長回しでちょっと眠くなりかけたところでファー!!ってなって目が覚めた。

もう一人のゴーストとの対話、「成仏」(?)の瞬間の演出等、他にも細々と好きなシーンが多い。

導入で脱落する人が多そうなのが惜しいけど、今年観た個人的に良かったトップ3に入りそう。日本公開あるのか知らないけど、かなりおすすめ。
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