ベニギツネ

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのベニギツネのレビュー・感想・評価

4.7
哀愁を湛えた地縛霊の話。
ハマった。
写真を眺めているような感覚になる動きの少ない長回しのシーンが、物語に独特のペースをもたらしている。
あらすじからは『ゴースト/ニューヨークの幻』みたいなのを想像してたけど、違う。
奇跡然とした表現は一切なく、見た通りゴーストも滑稽。それ、まだやってたの?と、間抜けさすら感じた。
台詞すらないのは恐れ入った。ケイシー・アフレックが演じる必要性が僕には分からない。そもそもシーツの中の人が誰なのか分からない。
主人公でありながら物語の外にいるゴーストの目線で、彼を置き去りにしていく時間が、淡々と、切なく、あっけなく描かれている。『ラブリー・ボーン』のような感傷的な要素もない。
『インターステラー』のラストのオカルト的解釈とでもいうか。
ヴァージニア・ウルフの『幽霊屋敷』。読んでみたら一層ゴーストが愛おしくなった。
余韻が長引きそうな作品。