あきら

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのあきらのレビュー・感想・評価

4.9
「ここで人を待ってる」
「誰のことを?」
「覚えてない」

なんという…………
何から何まで、エモエモのエモですよ。

顔も、名前も、記憶も、意味さえも、
遠くなって尚、想いだけが残像みたいに残ってる。
時間の中に置き去りにされたままの、これは正しく、一億年後のラブソング。


丸のままのパイを貪るルーニーマーラ。
生活のためのエネルギーを無理矢理引っ張り出してるような彼女の、息が詰まるような悲しみ。
を、ただ見つめるしかできない黒い二つの穴。
言葉を極力排してるのに、穴あきシーツがこれほど雄弁だなんて。
こんな切なさの表現があったなんて!

幽霊の視点だなんて、今まで考えたこともなかったけど、ああこういうものかもしれないとハマスホイの絵画を見て思った。

1度目の別れは不慮だったけど、2度目の別れは意思を持ってしか行われなかった。

あの手紙に何が買いてあったのかはわからないけど、新しい家族が来て、どこ探してももう彼女はいなくて、時間を超えた空虚と孤独を終わらせるのはあれしかなかった。
だったらそれがどんなかたちであれ、愛と呼ぶしかないじゃない!

幕切れのあっけなさまで含めて、完璧に大好き。
あきら

あきら