一つの家族を通して、
虚勢を張っていないと生きれない男性の未熟性と、
それを支えるという大義のもとに自己を抑圧してきた女性の未熟性が、
多少、過剰ではありながらも、
閉ざされた町の中で、かつ子供の目を通すという手法で生々しく描かれている。
うまくいかなかった時に、それぞれの本性が、
そして関係性の本質が試される。
夫は自分の未熟性に直面することができず逃避し、
妻は抑圧してきた自分の人生を夫に責任転嫁して奔放に振る舞う。
息子はそんな2人を見て父、母というロールが崩れ去り軽蔑の対象となるが、
そこで自分自身にも当然に宿る人間の本性に初めて触れる。
綺麗事だけではない清濁合わせた人の本性に触れ、
それを機に自立し人として向き合えるようになったことで相互作用が進み、家族全体が進化していく。
万事がうまくいっている時には表層的な関わりで乗り切れてしまう。
一見すると問題はないが実はとても脆い砂上に築かれた関係性であり、
一度綻びが出ると全て崩れ去る危うさを持っている。
深く踏み込む覚悟、
そこで出てくる膿を出し切って繋がった関係性の上にしか、
本当の信頼関係を築くのは難しいように思う。
そこでジョーのように踏ん張れて周りを進化させられるのか、
巻き込まれて破滅に導くかが人の分起点となる。
自分も何度か経験したつもりにはなっているが、
夫と妻、どちらの未熟性も自分はまだまだ持っていることを気づかされる。
まだまだ迷うことはあれど、最終的には前者の生き方でありたい。
主演の3人は最初と最後で皆別人。
本当に素晴らしかった。