第3逃亡者

さらば愛しきアウトローの第3逃亡者のレビュー・感想・評価

さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)
5.0
泣き所は多々あるだろうが、私はカーチェイスでレッドフォードが曲がりきれずに車をぶつけたとき、次の運転席のカットで腕を押さえている姿を見ておさえきれなくなった。ダイナーのシーンで会話を普通に切り返していってシシースペイセクがレッドフォードの次の言葉を待っている時に生ずるエモーションを内から撮る、これは後半アフレックがタッカーの娘の話を聞く場面や「ピートとドラゴン」の最初の方の子供たちのシーンにも顕著で人の話をじっと聞く姿を大切に撮っている。銃は撃つためではないという主題がレッドフォードが強盗に入りジャケットを開くたびオフで繰り返される、これは刑事が過去のレッドフォードとのチェイスを回想するときの幸福感(ポスターのシーン)を盛り上げる。テレビの向こうで取材を受けるアフレックがカメラ目線した瞬間、レッドフォードとコミュニケーションが生まれる(マイケルマン)。蓮實が運び屋のダイアンウィーストを軽蔑したのは彼女がいつまでも初犯心理だから、一方レッドフォードはシシースペイセクが拳銃を見て揺れた時にキスをして彼女をつなぎ止める、また彼女の頬を赤く染め上げる光はキャリー=映画史へのオマージュなのか。ペンキ娘の横移動、車の色が白→青へ、壁紙の裏のサイン、馬の絵を贈る、銀行の絵、紙幣に落書き、写真に落書き、ダイナーの筆談=刑務所のメモの反復、屋上(雲でおおわれている)、金塊の照り返し、トムウェイツのオレンジジュース、テープレコーダーは壊れる、お湯を沸かして止めない、ネクタイで止血する、バックファイア、ノックしない、馬、脱獄歴(ウェスアンダーソンみたい)、シシースペイセクが迎えに来た時に乗るのは白い車、ポーチで並んで景色を見ること、デパートを二人で歩くこと、映画を見ること、常習犯で終わること