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羅生門のMMRのネタバレレビュー・内容・結末

羅生門(1950年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

土砂降りの羅生門の下で杣売りと旅法師が暇を持て余した下人に語る、ある殺人の顛末。物語の導入として、このシチュエーションがなんともワクワクする。

検非違使の前で証言する杣売りと旅法師。そして当事者である多襄丸、妻、まさかの死人目線の3者3様、杣売りも含めて4者4様の主張。

罪から逃れるため、見栄をはるため、それぞれが絶妙に嘘をつく脚本は人間の愚かさを浮き彫りになる、

森雅之の妻を見る蔑んだ眼、京マチコの豹変ぶり、くっそ情け無い三船敏郎の演技が白眉。

杣売りが繰り返す
「わかんねぇ、さっぱりわかんねぇ」は、最初事件の事かとおもいきや、結局のところ、(自分も含めた)人間の心のことを言っていたのか思うとさらに唸る。

雨が上がった羅生門。
自身も盗みをしていたことを断罪されつつも、杣売りが赤子を引き取るという救いのあるラストシーン。

74年後の今観ても、物語の構造、映像、脚本、演技ともに拍手しかない傑作。
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