ハリィしろかわ

羅生門のハリィしろかわのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.6
【シネマメモ帖 「羅生門」は日本映画の国宝なり(淀長4/100) 】

久々にクラシック日本映画を鑑賞。
1950年公開、日本映画初のヴェネチア国際映画祭金獅子賞とアカデミー賞名誉賞を受賞し、黒澤明監督と日本映画が世界で認知・評価されるきっかけとなり、日本映画黄金期のスタートを切った記念碑的作品である本作。

舞台は戦乱・疫病・天災で荒みきった平安時代。
ある侍の変死事件に対して、関係者(盗賊、侍の亡霊、侍の妻)とその目撃者が各々の見栄やエゴにより、それぞれ食い違った証言をする姿を鋭く描くサスペンスストーリー。
各々は自分の立場を正当化すべく、ご立派な証言を述べるが、実は各々は情けなかったり、弱々しかったり、強欲だったりと、本作では人間のエゴ満載な姿を見せつけられます。
ひとつの事実に対して、関係者が自分勝手なコメントを語るストーリーって、ある意味、法廷ものにも近いから、世界でも受け入れられるのには納得。
最近だと「アイトーニャ」でもやっていましたね。

キャストだと、盗賊役の若き三船敏郎のギラギラした野性味あふれる演技が印象的。現代の男子にはまず見られないカッコよさです。若き日のクリント・イーストウッドをも彷彿とさせます。
一方、一見貞淑に見えて、実は盗賊と侍に殺し合いをけしかける妻役の京マチ子の恐ろしさも十分印象的。
女優って恐ろしいな…

撮影面では、当時はタブー視されていた太陽の直接撮影や、レフ板ではなく鏡を使うことで自然光を十分に生かす方法により、モノクロ映像の美しさを最大限に引き出しており、本作はまさに国宝級の芸術的作品であります。
本作を観れば、モノクロ=古い=つまらない、という固定観念は吹っ飛びます。

映画好きを語る日本人なら、本作を鑑賞することはマストだと思います。

#映画好きと繋がりたい
#羅生門
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