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羅生門のuのネタバレレビュー・内容・結末

羅生門(1950年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

黒沢明監督の作品を初めて視聴。羅生門で雨宿りしている3人の掛け合いから始まるのだが冒頭のシーンだけでとても引き込まれる。「人間は自分の信じたくないものは忘れてしまう」という言葉があったが、人間の光と闇,エゴといった内面性を役者の演技を通して観ている人に再確認させる。人は自分の脆い部分を曝け出したくない。なので内面から外面まで虚構で覆ってしまう。それは死者であっても同じ。だがそれも人間の本質なのではないか、正しいだけの正義感や内面に含んでいるエゴを引っくるめて人間という生き物なのではないかという、現代にも通ずる普遍的なテーマだと思う。これらの内面性を観客に伝えるための役者の演技も素晴らしかった。ただ動きや口調だけで感情を伝えるのではなく、怒りや悲しみそれ以外の感情を孕んでいるかのような表情や巧みなカメラワークによって見ている人に演技を読ませる。決して押し付けがましい内容なのではなく、いつの時代でも物語と読み手の相互作用により一層深みが増す作品なのではないか。黒沢作品は初めてだが、今まで見てきた邦画の中では別格だと感じた。他にも黒沢明監督の作品を見てみたいと思う。
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