ちろる

沈黙/ある沈黙のちろるのレビュー・感想・評価

沈黙/ある沈黙(2016年製作の映画)
3.9
ショートムービーを観ていたはずなのに、観終わった時は長編映画を観た後のような満足感のある作品でした。

皆なんらかの事情によって全ての女性が妊娠をしている、とある寄宿学校の物語で、何となく「マグダレンの祈り」を思い出した。

タイトルからもっと暗くて沈黙の中でみせるようなダークな作品かと覚悟していたけれど、少女たちの何でもないおしゃべりや、次第に高まる友情など、一瞬女子校の青春の一ページを観ているような爽やかさも随所にありました。

「妊娠」をしたことを家族に隠された主人公の家柄の良いマリアンヌや、妊婦であることで社会に居場所さえ失った貧しい少女たちなど、皆望まれない妊娠を抱えてただ、お腹の中にある塊を出すことを待つ毎日。

だけど、本当は妊娠望まないのは他者の思いであり、少女たちのものでは決してないはずです。十月十日お腹の中で健気に命を育んできた愛しい我が子を慈しむ母性は、他人に抑えることはできるはずなんか無い!

幼くまだ世間も知らないボワっとしたマリアンヌの目が、ただの少女から母親の強さへの変わっていたので、彼女の選択が、間違っていないと信じています。
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