予想外に泣いてしまった。というかアイダ役の少女のとんでもない魅力的な演技に泣かされてしまった。
一夫多妻制の文化が、あまりにも時代錯誤で私には腑に落ちないし、そのセネガルの文化をパリの生活に強いてくる父親のゲスぶりが見事だったけど、新妻リマの精神の幼さにも始終イラついた。
始まりのママ友同士の女子会から、アイダが部屋のベッドの下で隠れて見たママの涙、そして最後の母と娘のシーンのなかで一貫して垣間見えた、ママが一途にパパを慕う気持ちが切ない。
幼ないアイダにはまだ分からないと大人が思ってるみたいだけど、女の子は早熟なのだ。なんでも実は分かっているんだ。
アイダが幼さゆえに衝動的に起こした行動と、ラストでママの部屋を出る時の、少し大人びたいたずらな目が、彼女くらいの年齢の少女だけが持つ、アンバランスさを表現していて、何だかドキッとした。
お兄ちゃんの空気読まない無邪気さや、自分の事しか考えない父親の無神経さなど、作品は一貫して男性をディスっていて、世の男の人はこの作品を観てどう感じるのか気になるところ。
ショートムービーならではの濃密さと、小さなマンションの部屋の中で繰り広げられる、低予算なつくりが、逆にアイダやママの苦しみを伝えていて、リアルで秀作だったと思う。