「そう言えば、最近あいつはどうしているんだろう」。そんなふうに、この映画に写っている人たちのことを時々思い出すのではないかと思う。
2015年のネパール大地震で大きな被害を受けた山村の震災後の日常を映すドキュメンタリー。
何かを、物語のようなものを意図して撮ったのではなく、目の前で起こったことを記録した、という感じで村と人が映し出されていく。
どうしても作り手の意図を探したくなるもので、それが見つからないこの映画をつまらなく感じた。でも、後半はググッとおもしろくなった。
村に生きる伝統。50年前とおそらく変わらない共同体の風景。綿々と連なる歴史の一部を構成する今を生きる人びと。あの時のおじさんが今の自分。あの時の自分が今のあの子。
自身のことに置き換えると、今の自分はあの時のおじさんの席に座っていないし、あの時の自分の席に座っているのが誰だか分からない。
とてもさみしい。
だから代わりに、あの人たちにまた会いたくなるのだと思う。