えそじま

逃げ去る恋のえそじまのネタバレレビュー・内容・結末

逃げ去る恋(1978年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

無事逃げ去る事に成功したコレット&クリスティーヌのアンチドワネルクラブ結成と新たなる犠牲者サビーヌ、それぞれの恋路が軽妙に絡み合い、渦中の張本人である愛すべきバカの冒険を振り返るファンサービス。

自伝小説による初恋の記憶(失恋)の捏造を目の前で本人に読み上げられた挙句、キスをせがんでマジ説教される「地獄の特急列車with コレット」からの逃亡、幼い愛息子には突如面と向かって「後悔先に立たず」とディスられ硬直、かつての愛人を通して融解する亡き母(まさかのアナーキスト)との確執。

最後まで本当にドワネルはドワネルだったけども、妻だけでなく母、姉、妹、乳母とそれぞれに代わる女性達を同時に身の回りに欲する彼の貪欲な恋心は、全て愛に枯渇した暗い少年期への反動だったのだという事実で同情心を掴まれた。「かつて鑑別所を脱走したあの時からずっと無垢な眼差しで人生を走りつづけていたのは、魂の牢獄から逃げること、それがつまり愛を追いかけることであったからだ」と言わんばかりのラストで感極まり、トドメの回転ドワネルで思わず泣いてしまった。まあでもコイツは懲りずに今後も浮気しまくるだろう。頑張れ!サビーヌ!
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