豚肉丸

サスペリアの豚肉丸のレビュー・感想・評価

サスペリア(2018年製作の映画)
4.8
ある有名なバレエ学校に入ったけど、その学校では少し前に人が失踪したり、発狂したりと色々な闇がある学校で...というお話

オリジナル版から導入と設定だけ流用して全くの別物を作り上げてしまった...「導入」「キャラクター」「舞台」「魔女」の要素は同じなのに、ここまで別物になることってあるのか...
オリジナル版は主に色彩が作り込まれており、赤が基調になった建物や殺害場面の美しさなど、まさにジャッロ映画の代表作と言えるような映画でしたが...このリメイク版は「美しい!」という点は同じでも、その美しさも全部違う。
リメイク版はリアリティのある美しさというか、例を挙げるならシャイニングの美しさに似ている。色彩を抑えられて綺麗に作られた建物や、鏡の部屋など...オリジナル版とは異なるけれど、これはこれでまた違った美しさがある。

そして、殺害場面もオリジナル版とは全く異なるし、ここにもまた違った美しさがある。ダンスに合わせて四肢があらゆる方向に曲がり、壁に打ち付けられる殺され方は「魔女の呪い」と「ダンス」を上手く組み合わせた殺し方で見ていて圧倒された。何なら終盤は身体が爆発四散する。

肝心のストーリーについてはよくわからない。まさかここまで難解な映画だとは思いもしなかった。
多分、この映画を予習するためにはオリジナル版を見るんじゃなくて近代ドイツ史とドイツ赤軍について調べるのが一番良さそう。
でも、わからなくてもなんとなく楽しめる構成にはなっていて良かった。失踪、発狂、迫り来る恐怖、謎を追うおじいさん、隠し部屋...など、サスペンス要素の強い序盤からダンスに圧倒される中盤への移行が本当に良い。章のタイトルが出てくる時の演出も良くて好き。

映像に赤いフィルターがかかって、躍り狂い身体が爆発四散する終盤の謎の儀式は滅茶苦茶良かったな。結局あの儀式が何だったのかはわかりませんが...
豚肉丸

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