Masato

サスペリアのMasatoのレビュー・感想・評価

サスペリア(2018年製作の映画)
3.7

最高に意味がわからない

ルカ・グァダニーノ監督最新作は、まさかのホラーリメイク。BLからのホラーという振り幅の広さ。

ダーレンアノロフスキーの「マザー!」の意味不明さとギャスパー・ノエの気色悪い映像を合わせたような、いかにもアート好きとゲテモノ好きが好む変な映画に仕上がっている。綺麗なホラーとしてだったら「コクソン」とも似ている。

理屈を求めるとなると、文学や歴史、芸術などの相当な知識量を要すると思われる。そのくらいに私は意味がわからなかった。町山さんがラジオで解説をしていたが、それでも分からない。ナチスと魔女狩りの関係など見た感じ見えてこなかったし、ロマンス映画として仕上がっているということも、そうと感じさせるシーンはあるが、何故それを入れ込んできたのかという謎が先行して意味がわかない。何から何までストーリーが意味不明。

ただし、ビジュアルは満点。グロテスクとエロスに美徳を感じることができる超前衛的映像。「アートホラー」として大満足した。物語が動かない序盤や中盤前くらいは眠気が襲ってきたが、グロテスクな描写が増えてきてから、興奮するくらいに最高なビジュアルが出てくる。やはりサブリミナル手法は最高だ。
ラスト間際のカオスと化したクライマックスのビジュアルときたら、これこそアートだ!と言わんばかりの美しい血祭りが始まる。「殺し屋1」ばりの血の量。
また、フィルムグレインが強い映像で古臭いし、突発的なズームインが面白い。

キャストのダコタ・ジョンソンが見事なキャスティング。ミステリアスかつ純真なキャラクターが良い。ティルダ・スウィントンの圧倒的ホラー感。クロエちゃんが堂々と演技力の高さを見せつける。最高。

私としては、152分の長さは全く感じず、なんなら「蜘蛛の巣を払う女」のほうが長く感じた。ストーリーが意味分からなくても、ビジュアルが最高なので、見入ってしまった。アートホラー好きは必見。

追記
他の方のレビューを見て、改めて考え直してみた。冒頭のデモはドイツ赤軍で、ベルリンの壁が近くにあること。途中に挟まれるパレスチナ人ハイジャック犯の事件の顛末。それがナチスと関係があることを踏まえて、リーダー格であるマダム・ブランともう1人の女。それに付き従う幹部たちは操られるように殺し、クライマックスで意気揚々と踊る。これは、かつてナチスが幹部を殺戮を行うまでに服従させるミルグラムの服従心理のことを暗喩しているのだろうか?そして、クライマックスのシーンは収容所の処刑に似ている。安直な考え方かもしれない。
また、パレスチナ人がハイジャック=差別されてきたユダヤ人が飛行機を支配=魔女狩りの過去がある魔女が舞踏団を支配?

ラストの救済は救済ではない。忘却は逃避。何も知らずして哀しみを繰り返す。

自分が意味不明と投げ出してしまったことの頭の悪さに辟易したし、まだまだ考察力が甘いなと感じた。精進。
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