さわら

サスペリアのさわらのレビュー・感想・評価

サスペリア(2018年製作の映画)
4.0
戦争の傷痕とテロの恐怖に塗れる70年代のベルリンを舞台に、ダンサーと魔女軍団、そして博士と別れたその妻たちの人間模様がとてつもなく薄っぺらに描かれる。ルカ・グァダニーノ自身、人間関係や魔女によっぽど興味がないのだろう。それらよりも、しつこいまでに出てくるフックの美しき形状に監督自身かなり魅了されているようだ。

「やっぱオリジナルの方がよかった」などと、どうしても付きまとうアルジェント版との比較勢を見事に黙らせる、新しく野心に溢れた全くの別作品に仕上げたのは見事。これだからこそ僕たちが劇場まで足を運ぶ意味を持つ。
ただ、あまりに唐突に足音で秘密の部屋の在処を突き止めたりするとこは笑った。

結局ティルダ・スウィントンの3役に踊らされた150分ともいえ、彼女こそ現代の“魔女”かもしれない