リリー

サスペリアのリリーのレビュー・感想・評価

サスペリア(2018年製作の映画)
3.8
次々と恐ろしいことが起こるし血もたくさん流れます。それに複雑なので混乱しました。旧作のサスペリアの知識はないか、忘れたかだったので、テーマに当時の社会問題や政治事情が背景にあるとは思っても見ませんでした。ホラーと言ってもメッセージ性の強いホラーだったのですね。
ドイツが東西に分断されていた時代にテロの危機にもさらされていたベルリンの不安定さが、舞踏団の内部で起こる出来事にさらに恐怖感を与えます。冒頭から、鏡張りの部屋でダンサーに起こる悲劇がグロすぎて、目を背けそうになりました。一方、大好きなクロエ・グレース・モレッツは半狂乱になりながらも相変わらず可愛らしいです。しかしその後の姿は少しショッキングでした。
テロと同時に、ドイツの負の歴史にも焦点が当てられています。クレンペラー博士の苦く悲しい過去がとても印象的です。ホロコーストの時代に生き別れになったユダヤ人の妻を今でも待ち続けている博士の姿が切ないです。それにしても、ティルダ・スウィントンの1人三役には仰天しました。全く気づきませんでした。
アメリカのオハイオ州(規律が厳しく近代文明を否定した独特の暮らしを守るアーミッシュの人々の本拠地の一つであることがここでは重要かも)からはるばる来たスージーが、オーディションで即選ばれた理由が、最後に判明します。
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