ねこまち

彼女がその名を知らない鳥たちのねこまちのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

愛は定義づけられないものだと思った。
彼女に罵られようと邪険に扱われようと「十和子のためなら何だってする」だって、彼女が笑ってくれるためなら尽くす陣治。おっさんくさいんだけど、十和子が嬉しそうな顔をすると、すごく嬉しそうな顔するんですね。父性のような愛だと思いました。十和子は痛い女だと思うと同時にどんなに酷い仕打ちをされても、昔の恋人を忘れられない弱くて無垢な女の子なんですね。目が離せませんでしたし、抱きしめたくなりました。蒼井優さんだからこそ感じたのかもしれません。黒崎や水島のような魅力的だけど、息を吐くように嘘をつく不誠実な男に惹かれてしまう。利用されてると知りながらも求めてしまい、自らの手で破壊してしまう弱くて哀しいモンスターのような十和子を我が子を抱きしめるような陣治。未来を託すように十和子の元から消える彼の愛の集大成に涙が溢れた。私はここまで人を愛せるだろうか。とも思う。十和子の人生はどうなるだろう。飛び立った鳥のように社会の中で生きて欲しい。蒼井優さんと阿部サダヲさんの残酷なほど純粋で人間臭い姿に私は共犯者になりたいと思った。
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