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彼女がその名を知らない鳥たちのpicaruのレビュー・感想・評価

5.0
私の2017年鑑賞映画第1位。

こんなにすばらしい作品に出逢えたことがうれしすぎて、もったいなくて誰にも紹介できなかったくらいです。

キャッチコピーは“あなたはこれを愛と呼べるか”。
いいですね。こういう真正面から「愛」と勝負している映画、大好きです(笑)
観に行かないわけがない。

ということで、お気に入りの映画館「新宿武蔵野館」へ足を運びました。

『彼女がその名を知らない鳥たち』。
映画紹介なら、どう感じたか、どこが良かったか、を伝えるべきなんでしょうが、あいにくベラベラと言葉で語れるような作品じゃないんですよね。うーん、難しいです。それに、鑑賞した人がそれぞれ自由に好きなように感じていただけたら、それが正解なんじゃないかと思います。そんな作品です。
なので、ここではあえて映画鑑賞後の衝撃をお話しましょう。

衝撃①
鑑賞後一週間まともに日常生活を送れなかった。

この映画、すごいんですよ!!
心臓をえぐられます!!
もちろん褒めてます!!(必死)

この映画は私のなんでもない毎日の2時間を奪うだけじゃなく、心臓をガッと掴み、ありとあらゆる感情を奪っていきました!!
なんだこれ。盗まれたのに、感謝しかないです。
こんな衝撃作に出逢ってしまったら、鑑賞後は放心状態というか、何をしててもふわ〜っとしてしまって。余韻に浸る、なんて爽やかなもんじゃないですよ。大変ですよ。

衝撃②
最低なのに最愛。

本編に出てくる登場人物はみんな最低で、最悪で、下劣で、グズで、どうしようもなくて……ってこんなもんじゃまだまだ足りません!!
共感できない。というか、共感しちゃだめ!! 身体中の全細胞が抵抗します!!

でも、大好きになりました。
演技が、すばらしかったんです。
みっともない人間たちが、美しく見えたんです。
最低の中に真の愛を生み出してくれたキャストのみなさん、ありがとうございます。私の中の“なにか”が救われました。

衝撃③
これがほんとのR指定。

『彼女がその名を知らない鳥たち』はやはりというべきか、R15+の作品です。R指定とは、性・暴力の描写を含む作品の年齢による規制です。
この作品の監督である白石和彌監督の映画『凶悪』を観たことがあったので、今回もそんな感じだろうと、鑑賞前は余裕でいました。だって、なかなかいないでしょう。『凶悪』観たことある女子(笑)

鑑賞後。

……全然大丈夫じゃなかった。
全然大丈夫じゃなかったです!!
なみだが!! なみだが滝のように流れ出して、もうぐっちゃぐちゃです!! 映画の登場人物よりも醜い顔で泣いてます!!
やめてくれ。十分わかったから。この映画のすごさ、嫌というほどわかったから。最後はたたみかけてくる映像と体全身の水分との戦いです。
これはだめだ。こんなすばらしい映画、15歳未満の人に魅せちゃいけない。大人になってからの楽しみにしてほしい。

私の中で、R指定の定義が変わった瞬間でした。

2017年鑑賞映画No.1と言いましたが、自分史上最高の邦画のひとつになりました。
辛いです。苦しいです。この映画が私の人生に与える影響は「痛み」と言ってもいい。
私はこの映画を一生背負って生きていけることがうれしくて仕方ないのです。

《おまけ》
本編終了後、映画館ではトイレに駆け込む女子が続出。そりゃそうだよね。顔、ぐちゃぐちゃになるもんね。でも、分かってるんだよね。メイクを直したからって、この映画を観る前の自分には決して戻れないってこと。
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