ジュウモン

彼女がその名を知らない鳥たちのジュウモンのレビュー・感想・評価

4.6
これを愛と呼ばずしてなんと表現すればよいのか分からないので愛と呼びます。

一切共感できないクズな人間ばかり出てくるが、ある場面を境に、ひとりのクズに対する評価が180°変わる。嫌だなぁと思っていた行動のひとつひとつに意味があったことを知る。答えを知った瞬間は衝撃を受けるのと同時に、疑いの目で見ていた自分を恥じ入った。
愛にもいろいろあるけれど、献身的な、自己犠牲を伴う愛は、そうそう得られるものではない。十和子はほんとうに、男を見る目のない女だった。

イヤミス。ミステリーを土台に純愛を描いた作品。鑑賞中は、ぬめっと淀んだ空気が纏わりついて、嫌ぁな気持ちになる。肌がベタベタする感じ。でも最後に、どろどろの汚い世界の中で唯一の純真無垢を見たような気がして、スッキリしたようなしないような。

彼女がその名を知らない「鳥」とは何なのか、しばらく考えた。
陣治の異常な執着心から考えると、彼は最後の宣言をきっちり実行する気がする。

一番怖かったのは十和子の姉のあの台詞。姉には共感。
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