ユニホームが色付き、ラストシーンでコート上で喜び合う様々な色の服を着た人々の中にエマストーンが入っていく光景が象徴するように、本作は男女、さらにはLGBTQといったカラフルな世界を背負った女の物語である。
抑えきれない想いを抱く美容師、アスリートの妻に距離を感じつつ寄り添う夫などなど周囲の人物の配置も巧く、実際の試合の場面をクライマックスに残す構成でありながらも、それに至る人間ドラマも見所が多い。
ラストも社会や世間が注目する中、それぞれの私利私欲や大義名分などを背負いつつも、徐々にそういったものが削ぎ落とされ、アスリート同士の真剣勝負へと移行していく見せ方もうまい。勝利を決め安堵からひとり更衣室で涙を流すエマストーンの表情がすべてを物語る。