菩薩

テオレマの菩薩のレビュー・感想・評価

テオレマ(1968年製作の映画)
4.0
「テオレマ」とはイタリア語で「定理」を意味する、なんてのは調べれば2秒で出てくる話で、「乱交」とはそれすなわち「所有権の廃止」、「階級観念の否定」を意味するなんてのもとある本にこっそり書いてあるお話。要するに「人類補完計画」と言うものがかつてあって、「心も体も一つになりたくない?」と言われても、「それはとてもとても気持ちのいいものか?」と毎回疑問にもなるもので、それでも帰って来たら続きはして欲しい。人々は神の再来を願いながらも、実際にそれが現実に起こり得たら否定をするだろうし、いざ何もない荒野に裸一貫取り残され「自由にせい」と言われたって、何もする事なんてないんだから、せいぜい喚き倒す事しかできない。画家は視覚を遮断し感覚を研ぎ澄ませたところでベーコンの様な魂の叫びを描く事はできないし、思いついたかの様なウォーホル的破壊行為にはなんの意味すらない、「無題」と言う名の駄作が一つ出来るだけ。あまりに説明が少ない映画だしいくらでも解釈が可能、要するに白米みたいなもんで、おかずを何にして満腹感を得るかは各々自由にやっていいのだと思う、あくまで自己責任で。なんにせよ、1968年の映画である、としておくのが無難なのかもしれない。
菩薩

菩薩