マチャアキ

羊と鋼の森のマチャアキのレビュー・感想・評価

羊と鋼の森(2018年製作の映画)
3.8
お正月も近いですが、これは豪華🎁。海山里おせち三段重といったところ。大好きなキャストさんばかりで、もう眺めているだけでテンション上がるぅ〜。原作は福井出身の宮下奈都氏。宮下氏の小説は、見事なまでの緻密な表現力にあり、今作も溢れんばかりのその力を発揮していると思われる。が、これを映画にするとなると寒いことになるのではと思いながらも、重箱のフタを開けてみることに。思いの外、見栄えばかりではなく、中身も極上のおせちでした。
主人公外村(山﨑賢人氏)は、ある出会いにより調律師となり、故郷北海道の楽器店に就職する。先輩調律師に付き添いながら様々なピアノとその弾き手に関わりを持つことで、この先どう進むべきか己の葛藤と戦いながら自身の成長へと繋げていく。誰もが悩み苦しみ藻掻き喘ぐ、若かりし頃の迷い。それを決して押し付けず、強引に引っ張るでもなく、周囲の人々がそっと導いてくれる。
人は決して一人では生きていけないー。調律師という言わば裏方の話しだが、彼らなくして最高の演奏は実現しない。何事にも舞台裏では、様々な苦悩があり工夫があり苦労がある。エンドロールに繋がる最後の一曲は、風の谷のナウシカを手掛けた久石譲氏の作曲。耳に心地よい風が吹く清らかな曲は、そんな調律師達に向けた餞の演奏と感じずにはいられない。北海道の大自然、様々なコントラストを齎す街並がさらにこの作品の格を上げている。
さて、この作品は北海道が舞台となっており、作品の性質上もの静かに展開するのだが、明らかにトーンの気になるキャストが存在する。楽器店に勤める事務の北川みずき(堀内敬子氏)だ。男女すべてのキャストのなかで、取り分け甲高い声の堀内氏は浮いたように感じる。普通ならスルーするところかもしれないが、この作品は、特に音にこだわっているはず。なぜ彼女を起用したのか。最後まで観て思った。あぁ、これで良かったんだと。彼女がいることでメリハリがあり、単調になりやすい流れを変えているんだなと感じた。でなければ、たぶん「北の国から」を思い出したに違いない(*´◒`*)
ちなみに北の国からシリーズは、ボクの中の最高点4.9です。
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