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メアリーの総てのrimiのレビュー・感想・評価

メアリーの総て(2017年製作の映画)
3.8
メアリーにとってペンは刀なのだなと思った。
自分の生と引き換えに亡くなった母への想い。
遺された書物から、母を想像することでメアリーの創造力は培われたのかな。
亡き母や、失った我が子の存在から、死者を蘇らせることに興味を示した気持ちもごく自然なものだと思った。

自由恋愛とは名ばかりで、革命的な理論武装の中身はただの責任逃れ。
不倫、略奪愛の末に、身ごもり、同じ立場に立たされて見えてくる現実。妻子の影。

時代もあるのだろうけど、「若い女」というパッケージに求められるもの、押しつけられるふさわしさ、男の理想が重くてずっともやもやしてた。
それによって伴う女の苦悩や、孤独、悔しさ、軽んじられる権利、絶望にも。
そういったものが「フランケンシュタイン」に描かれているなど思いもしなかった。
これは怪談ではなく、怪物に共感すると涙ながらに語った義妹の言葉を聞いて俄然興味が湧いた。
自分が想像していた「フランケンシュタイン」のイメージが覆された。読みたい!

メアリーの中の燻っていたものが爆発するかのように物語を書き上げるシーンが良かった。
出版社の人間に「性別で判断せず、中身をみて判断しろ」的なことを言うシーンもスカッとした。
この作品のエルファニング、かなり美しくて、一気に好きになった。
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