エアール

ティーンスピリットのエアールのレビュー・感想・評価

ティーンスピリット(2018年製作の映画)
3.6
わたしには”音楽”がある!!


近年、ミュージカル風やドキュメンタリー風など
その手法は違えど”音楽”のもつ響きやパワーが
本編で語られる物語にハマって
観る人の多くを魅了する作品が
増えている傾向にあるように感じます。
たしかに観ていて気持ちがいいですものね!!
本作もカテゴリーとしては
そこに含まれる作品でしょう。

田舎町で暮らす、
ルーチンをこなす日々にウンザリしている歌手志望の少女が
世間からの注目を浴びる有名なオーディション番組に挑んで
己の成功をつかみ取ろうと奮闘する姿を描く青春音楽映画。
平たく言ってしまえばそんな感じになりますね。
主演を務めたファニング姉妹の妹、エルは
今すでに輝かしいキャリアをもつ実力派の女優さんですが、
もともとは女優ではなく歌手志望だったそうで。

本作に臨むにあたり
呼吸法を学び、発声練習を徹底して取り組んだ背景もあってか
本編でもその成果が発揮されているのがうかがえますね。
声量で圧倒するようなタイプというよりか
細い声の中にも繊細さが感じられる、
趣きのある歌声を披露してくれています。


舞台はイギリス南部に位置する離島、ワイト島。
ポーランド移民の娘であるヴァイオレットは
母マーラと2人で島に暮らす17歳の女の子。
父親は幼い頃に家を出たきり戻らず、
高校で親友と呼べる存在もいなければ、愛する恋人の存在もない。
孤独な毎日をおくる彼女の唯一のお楽しみは
大好きな”音楽”に触れる時間だけ。

そんなヴァイオレットが
通学途中に街で目にしたのは、
”ティーン・スピリット”出演者募集の広告看板
ーー”ゴット・タレント”や”アメリカン・アイドル”、”Xファクター”など
スターとなり成功を夢見る者たちが集い競い合う
オーディション形式のリアリティ番組の一種。
本作のために作られた架空の番組ではありますけど
雰囲気は↑↑の感じを想像してもらえれば分かりやすいですかね。

番組の予選会が
島で行われることを知ったヴァイオレットは
このチャンスを逃すまい、と
予選会に参加することを決意。
予選を勝ち進み決勝進出となれば
舞台をロンドンへと移し
その様子は100カ国もの国にテレビ配信される、のだとか。
もし優勝なんかすることにでもなれば
一躍時の人となれることがお約束されたようなもの。

バイト先のパブに設けられているこじんまりとしたステージで
しばしば歌声を披露するヴァイオレット。
そこで聞いた彼女の歌声に
特別な何かを感じた元オペラ歌手のヴラドは
ヴィクトリアに声をかける。

歌手への道を反対するマーラと折り合いがつかず
母に内緒にでヴラドにマネージャー兼コーチを依頼したヴァイオレットは
特訓を重ねて厳しい審査を次々と突破していく。
すべては人生の転機をむかえるために…


ヴァイオレットの視点を通して
オーディション番組に臨み、勝ち進んでいくまでの険しいプロセスや
パフォーマンス前の舞台裏、孤独や容赦ないプレッシャー、葛藤などが
ひしひしと伝わってくる本作。
こういうのを見ると
これがリアルなんだろうな〜、と、笑
オーディション番組の本番前とか
絶対やばいですもんね、、

エルのパフォーマンスは
もちろん見所のひとつに違いありませんけど
夢に向かって盲目に突き進んでいく
人たちのエネルギーに触発されて元気がもらえる、
そんな作品でもあると思うので
その点、青春+音楽というのは
ピッタリな表現だと思いますね。

お気にの場面は
オーディションの決勝進出をかけたパフォーマンスで
エリー・ゴールディングの”Lights”を披露するんですけど
妖艶な感じと曲調が合っていてすごく良い感じでした!!
本編中で披露されるパフォーマンスはこの他にもいくつかありますけど
個人的にはここのパフォーマンスがベストですね!!
時折、どことなく
カーラ・デルヴィーニュに見えてしまうのは自分だけかな、笑
エアール

エアール