皿と箸

マザー!の皿と箸のレビュー・感想・評価

マザー!(2017年製作の映画)
4.7
傑作。
神に利用される地球。

神が万物の創造主である、神前法後の世界観と、神以前に自然の法(ダルマ)が存在するという法前神後の世界観を対比させながら、結果的に地球という人類にとってのプラットフォーム(家)を蝕む思想を批判している作品だと思います。

一部ではキリスト教批判の映画だと言い切ってしまう批評もありますが、確かにその要素もあります。
しかしながら詳細に述べるならキリスト教と一口に言っても様々な宗派があり、ここで批判しているのは、資本主義の源流とも言われるカルヴァン主義批判だと思います。

自分が救われたいが故に神に跪き、取引しようとする姿勢を露悪的に描いていきます。

このカルヴァン主義批判的な目線こそがヨーロッパ的であり、初期ギリシャ的とも言える視点で、総合的にアメリカ批判にもなっていると思います。

そこは、ヨルゴスランティモス監督の「聖なる鹿殺し」と共通するテーマだと思いますが、そこに環境問題の要素を加えています。
資本主義は一種の宗教とも言いますが、
それによって人類共通の資産である地球が蝕まれていることに対しての警鐘を鳴らしています。
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