宙2秒

マザー!の宙2秒のレビュー・感想・評価

マザー!(2017年製作の映画)
3.8
意味がわかると怖い話というのがあるが、これは逆で、意味がわかるとつまらない話。

ブラックスワンの鬼才という枕言葉が入るダーレン・アロノフスキーの映画は、レスラーとノアが良かったが、いまいちどういう作風なのか理解していなかったのだが、今敏をリスペクトしているというのを知って、なるほどなと思ったきた。というのも、現実か虚構かわからない展開に目が離せないからだ。

最初はぬらりひょんが家を乗っ取るファニーゲームみたいな胸糞悪いスリラーかと思っていたが、主役の奥さんも旦那も様子がおかしいし、家自体が奇妙だ。
話がどんどんエスカレートしていくと、悪魔の棲む家や地獄の黙示録、果てはローズマリーの赤ちゃんのようなシーンまで出てくるカオスぶり。

でも、ちゃんとオチは付けている。
それもかなり宗教的な解読方法で社会問題を浮き上がらせるという。

僕なんかはそれを聞いたらしらけるんだけど、シネマスコアで最低評価を下した人たちが同意見かどうかはわからない。
日本で公開されなかったのは倫理的な問題かもしれないが、いずれにしても人間様の身勝手な正義感には腹が立つ。

だとすると、一見遠回りな環境問題提起とやらも、じつは身勝手な正義なのかもしれない。僕にはどうしてもキリスト教を批判しているように思えるんで、愛は地球を救う的なメッセージはブラックジョークだと言いたいのだろうか?
だとすれば、反感を買って当然の映画だし、絶対タネ明かしは許されないだろう。
メタファーとミスリードの嵐は本心を隠すためではなかろうか。
「難解ではない」という判断がどうしてもひっかかる。

考えた挙句、これは本当の意味がわかると怖い話かもしれない!
宙2秒

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