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ハウス・ジャック・ビルトのbennoのレビュー・感想・評価

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)
4.6
ラース・フォン・トリアー監督作品4作目…。

な、なんとマット・ディロンが主演で気持ちも爆上がり⤴︎

建築家になれなかった技師ジャック(マット・ディロン)…。彼は強迫性障害(OCD)、潔癖症、完璧主義…と言う三重苦を抱え、自らを『ミスター・ソフィスティケーション』と名乗り、12年間に60人以上もの人間を殺害したシリアルキラー…。

ジャックは声だけの謎の男ヴァージ(ブルーノ・ガンツ)にこれまで自身が行ってきた殺人(=芸術)について語ります。無作為に選んだ5つの殺人をインシデント(出来事)として生々しく描いていきます…。

三重苦のせいもあり、何度も殺害現場を行ったり来たり…何度も掃除をしたり…"ソフィスティケートな殺人(芸術)がしたいと思っていても全然出来ない…そのジレンマがコミカル…悪戦苦闘する様が面白い。

ジャックの回想にヴァージがツッコミを入れる様も辛辣でユーモラス…。

今作はピアニストのグレン・グールド(彼もOCD)の♬パルティータやデヴィッド・ボウイの♬Fame…その他有名絵画 …レンブラント、ミュシャ、ゴーギャン、ボッティチェリ、サンダナパール…etc. 絵画好きには堪らない作品を多数引用…これもジャックが自分の悪事を高尚なもののように語ろうとしていてなんとも滑稽…。

また、セルフオマージュを入れたり…ジャックを監督自身のオルターエゴとして描いているようなマスターベーション作品とも見てとれます。

監督にとってこれまでの作品(芸術)もジャックにとっての殺人[=冷凍保存死体](芸術)も生み出されたものは永遠の命を得るのです…たとえ自分が死んでも…。

頻繁に流れるボウイの♬Fameがとても意味深…。

♬ Fame makes a man take things over…
Fame lets him loose, hard to swallow…
Fame puts you there where things are hollow…
  名声が男に見栄を張らせる…
  名声が男を堕落させ、疑いを深くさせる…
  名声がお前を虚無に満ちた場所に導く…

ところで一体ジャックは何がしたいのか?

 ………家を建てたいのです!! ………死体で…。


赤いガウンを纏ったジャックが姿を現したヴァージと一緒に小舟に乗ったショットはドラクロアの『ダンテの小舟』の絵画と構図がそっくり…。

ヴァージは彼を地獄へと導くのでしょうか? 監督自身も地獄に落ちて救われたいのでしょうか?

しかし過激ながらも笑えるブラックなエンタメ! とても後味がいい…レイ・チャールズと一緒に大合唱しました!!

♬ Hit the road Jack!
And don’t you come back!
No more, no more, no more, no more!
   出て行け、ジャック!
   そして戻ってくるな!
   絶対に、絶対に、絶対に、絶対に!

ただマットのイケボはずっ〰︎と聞いていたいですが…ෆ*


師匠! わかりました! 第2の出来事で死体を路面大根おろし状態にした後…凄まじい豪雨が血痕を洗い流したシーン…タルコフスキー の『ストーカー』でした〰︎✧︎*。


thanks to; JTK 師匠♡•*¨*•.¸¸♡
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