2025年1月9日
久々。ラース・フォン・トリアー流ギャグの詰め合わせな具合。多方面からの西欧芸術論をぶちつつのクラッシュ&ビルトで監督のアンチクライスト的憂さを劇中の中だけで晴らしつつ、組み上がる健全な映画。そして真の芸術作品の完成は失敗の繰り返しを経て一瞬で出来るって事で、ババーンと地獄の門は改めて観ても絶句の光景。天使から地獄の案内人と変化したブルーノ・ガンツのアドバイス(誘導)によって初めて満足の行く家が建つって云う、芸術家泣かせっぷりがまたヒドイ。グールドにボウイにディラン風と色々と最高。
2019年12月17日
なんと云う事でしょう、匠もびっくりな地獄の門。真の芸術家への道をせっせと辿る、かなりストイックな話ではある。建築家と技師、作曲家と演奏家の芸術家として成立する云々で偉大なるグールドを引き合いに出すのは暴挙だろ。ベルリンの天使なブルーノ・ガンツに地獄を案内させる役どころや鉄の意思を持つ男のフルメタル・ジャケットとかも冗談が過ぎる。過去作で集大成っぽいと思いきや、考えてみたら最近のは結構ねじ込んできてるか。キングダムのウド・キアーとか完全に笑わせに来てるよね。人間の対立する二つの魂で、いつもキリストと闘っている風でアンチクライストな誤解を受けてしまう美意識高すぎなラース・フォン・トリアー、悪い奴は地獄に落とすと云う善人ぶりを遺憾なく発揮している。あの財布はどーかと思うけど。