インダスの大地

ハウス・ジャック・ビルトのインダスの大地のネタバレレビュー・内容・結末

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ラースフォントリアー新作出てるじゃない!どんなイヤな気分にさせてくれるかな!
とか思って観始めた。
そしてなんで自分からイヤな気分になりにいくのだろう、愚かなことをしたな、と気付いた。

ジャックの(監督の?)殺人アート精神論を全面に押し出した映画なのでワインの腐敗製法と死体の腐敗が芸術であることを結び付けたり延々と殺人の思い出をバックに、殺人と芸術、芸術と愛について案内人と問答ないし内省を繰り広げる映画。
シリアルキラーの行いに対するエンタメを期待して観る話というより、監督の考えたシリアルキラーの信念に基づく芸術理論を聞くために観る映画。
相変わらず生理的嫌悪、倫理的嫌悪を煽る様な気持ち悪い人間やシーンを描くのが上手いので、刺さる人には良いかもだけど、刺さらん人には退屈だし嫌な気分になるし、後半の地獄哲学行進のとこなんか怠いのではないか?
監督の作品が好きな人が観ると良い映画。
一応面白シーンもある。あと強迫観念の時にかかるBGM好き。

地獄行進の最中に案内人に楽園を観せてもらい、一粒だけ涙を流すシーンが良かった。ジャックの精神は最早人間に非ずだと思っていたんですが、伸ばしてももう届かない場所に対して思う所あるんだっていう純粋な人間味をここで思い出す。

エンドロールで流れる曲良かった。笑った。

※※
超々個人的メモ
母親の前で子供を狩るのとか動物に酷いことをするシーンが好きじゃないのでもう二度と観ない。
『子供(を殺したの)はマズい、繊細なんだ』「俺も繊細だ」、(はぁ?)となった。
でも庇護対象と認識するものへの加害行為がダメで、それ以外を観ることに対して許容できるこの感覚は、(みんなも持っているであろう)この残酷性こそが、人のもつ病理というか気持ち悪いものなのかもしれない。
観るけどね。

※※※
追記
レンタル版のレイティングが下がってたのですが、一部の残酷シーンをカットしていたんですね。日本での上映時とセル版はノーカットと聞いて、あんなに嫌悪したのにまた気になり出している。観ないけどね。