阪本嘉一好子

The Other Side(原題)の阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

The Other Side(原題)(2015年製作の映画)
5.0
トランプ支持者とバイデン支持者の真っ二つにアメリカは分断されている。(11/13/20)相手の気持ちになって物事を考える癖をつける必要がある。empathy という『being able to put yourself in their place as if you were them』という言葉と同じような言葉が日本語で見つからないが、相手の置かれている立場に自分がなって考えるということである。こうなれるように訓練を長い間,私もされてきたが、まだまだダメだなとこの映画を鑑賞して思った。複雑である。なぜなら、都市を中心とする政治や社会から完全に取り残された、想像もつかない世界があるからだ。それに、よくもこの映画が上映されたなあと不思議思ったが、言論の自由でこの映画を規制することはできないし、それより、私たちはアメリカ、ルイジアナ州の隠された小さなコミュニティー『The Other Side 』のこの人たちの見解も知る必要がある。相手を知らずにEmpathyは生まれてこないから。


これはオバマが大統領の時で(2013/2014年)、次の大統領選挙で誰が大統領候補になるかという時代の話だと内容から察することができる。主人公マークは麻薬密売していて、バーで知り合ったリサと結婚することになるが、定職はないというより、定職につけず、3ヶ月後に監獄に戻るらしい。重罪で監獄から逃げてきて、(?)いる。彼は、刑務所にいたから投票権もなし銃も持てない。ある学校に侵入して掲示板の大統領たちの顔写真を見ながら、『オバマには馬鹿が投票する』と悪態をつく。リサも麻薬中毒で、目にクマができていて、マークはクリスタルメスをリサの両胸に打つ。妊娠しているストリッパーにも麻薬を打つ。N やFの言葉を使い、ストリッパーの演技は強烈で、ここまでするのか?女は性のための見せ物?

1日に$20もらって、仕事をする。それはドラム缶に穴をあけたり、重い荷物を車に積んだりする。ルイジアナの沼地をボートで超えて母親とのところに行く。戻ってきたときは感傷的なっていて、母親が死んだらと考えて、母が死んだら監獄に戻るとリサに宣言する。
リサは マークが傷つくことを心配しているが、警察が葬式のあと、自分を連れていくから心配ないでとマークはいう。母の死を自分で受け入れられないから監獄に行ってこれを癒すということ?監獄に3ヶ月いくことで麻薬から足を洗えるとマークは宣言している。母親にあったから、感情的になって、癌の母のためにいい息子でいたいと思っているようだが?マークは祖母の家も尋ねる。祖母は孫の手を握ってとても嬉しそう。ベットで祖母の脇で一緒に手をさすり合って休む。マークの麻薬密売人の態度から想像できないが、人間の持っている優しい姿なのかも? 


老人たちの会話。ジムじいさんは、『Jimmy Brown』の曲をギターを弾きながら歌う。
ビールやウィスキーを休みなく飲む。静かに座っている孫を椅子からわざと落とし、泣いたら、抱き寄せて可愛がる。恐ろしい人間性。多分、この老人はこういうDVの中で育ってきたと思う。多分この孫もこういうDVがあたりまえになっていく。親から子へ、子から孫へと悪循環を続けると思う。
そして、ジムはスマートな女は必ず男の後ろにいると。女が大統領になるべきだと。ヒラリーが我々を助けてくれる。ヒラリーが大統領候補になれば、絶対、大統領になれる。まずしい人たちはヒラリーに投票するよ。90%貧しい人と女はヒラリーに投票すると。アル中、貧困の悪循環、DVの悪循環のなか、ジムは我々はアメリカにいる。自由だと。だれの奴隷にもならないと。

未成年の少年は父親(??)が亡くなって、戦争で、国葬に(軍の葬式)にでて、自分はこれからどうするか考えているようだ。このところがよく理解できなかった。

正式な軍隊でなく、地域編成の軍がきて、市民を勧誘してるようだ。ミリシアというグルーで、右翼的な政治結社。地域のパーティー、自分たちは家族を守るため、銃は必要だという。憲法のThe Second Amendment (修正第2条、つまり二番目の米国の憲法に対する修正)で認めているからと。
オバマケアー。オバマのマスクを被った若い女がある男性の性器を舐め回す。そして、男性たちがこれがオバマケアーだと。これが必要だと?そして、周りで男たちが冷やかしている。マサチュセツややインデアナはすでに、銃を理由なく取り上げたと。車ののなかにオバマのマスクをした人形をいれて、ミリシアが銃を何発もうちオバマの人形を殺す。


ルイジアナ州のウエストモンロー(West Monroe,)という場所で撮影されたらしい。リサ役は監督の前の映画に出ていると。あとの人は土地の人らしい。監督の言葉で、この地域は今、トランプ支持者だと。
分断のアメリカ社会でこの映画は我々の知らない、トランプ支持者の動きを見ることができる。この地域で満足に仕事もなく、高校を卒業したら軍に入って戦場に行く。生還したらミリシアに。ミリシアの頭の中はルイジアナにもどっても戦争しているようだ。年寄りはアル中、生きる希望は?