ShinTakeuchi

バーバラと心の巨人のShinTakeuchiのネタバレレビュー・内容・結末

バーバラと心の巨人(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

内容は「怪物はささやく」とまるかぶり。
巨人(怪物)の正体は母親の死への怖れ。さらに言えば、母を喪ったあとも、自分はちゃんと生きていけるのか、という不安だ。

異なるのは主人公が男の子か女の子か、ということ。
また、本作の主人公は巨人と戦おうとする。そして学校生活や友人との交流が描かれることあたり。

しかし、類似作があることと作品の評価は、また別だ。

主人公の奇行やイタイ行動は、本作の評価とは関係ないし、それにそうした行動のほとんどには(後からわかることだが)必然性がある。
例えば、冒頭の兄とのトラブル。友達を呼んでゲームで遊んで大騒ぎすること(もちろん、それとて兄としてもストレスゆえの行動なのだろうが)に対し、主人公がキレるのも、同じ家の2階で母親が病に伏せっていることを思えば納得がいく。
また、学校で唯一、主人公の味方となってくれそうな女性カウンセラーが母親であり、夫と赤ちゃんとの幸せそうな姿を見せられて主人公が打ちのめされるのも同様。


本作の欠点は中盤以降、ややだれることだろう。
起承転結の「承」が長いのだ。
「嵐の去った後には美しい静寂が表れる」
これは、大嵐が襲った後で、病床の母親のセリフ。
主人公はラスト、母親の死を受け入れ、母無き人生を生きる決意をする。つまり、世界と和解するのだが、そこを、すなわち物語の「結」をもっとていねいに描くべきではなかったか。
兄との関係はどうなったか、友人は主人公にどう接したか、など見たかったシーンがないまま、物語が閉じてしまった印象がある。惜しい。

あと、この邦題はダメでしょう。
「心の」は余計。
ネタバレになってしまっている。
ShinTakeuchi

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