みちたろ

赤線地帯のみちたろのレビュー・感想・評価

赤線地帯(1956年製作の映画)
4.3
台詞の一言一言、連なるエピソードの一つ一つに、今の邦画に足りない哀しさと味わいがあった。生きることの辛さ、絶望と諦観、人間関係の光と影を見事に描き出していた。

首を吊ろうとした旦那を引き下ろし、子供のために生き抜くことを決意するハナエのショット。邦画で、1ショットで泣きそうになったのは初めてかもしれない。赤子を抱えて現実に目を見据えるハナエと、ただ床にうずくまる夫の構図。その撮り方。いや〜凄かったな。溝口健二の作品ももっと観ていきたいと思った。
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