こしょう

赤線地帯のこしょうのレビュー・感想・評価

赤線地帯(1956年製作の映画)
5.0
面白い映画を観た後の独特の興奮と高揚感は、今のところわたしの中で他では得難いものであって、しかしながらそういう映画はそれほど多くはないが、この映画は間違いなくそれが得られる映画の1つとなりました。とにかく面白い。こんな作品があったのを今まで知らなかったなんて。

売春宿で働く女たちの悲喜こもごもや思惑、人間模様を86分でまとめて、かつ、時代背景を取り入れつつも、シリアスになりすぎないうまさ。

ズベ公、パンパンパン助、とんだ鉄筋コンクリートのアパートだな、などのセリフのテンポとユーモア。

登場人物もみんないい。特に京マチ子のビーナスや!八頭身やで!や風呂場での客の取り合い、若尾文子のしたたかぶりが楽しい。

映画的にも、狂ってしまったゆめこはまさにあちら側へ橋を渡るし、親に売られた九州娘の余った出前ものをかっこむシーンの面白さといったら。そしてラストのホラーともいえるアップと音楽。素晴らしい娯楽作!
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