Arsenyevich

Ryuichi Sakamoto: CODAのArsenyevichのネタバレレビュー・内容・結末

Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ずっと観たかった作品。
まさかの追悼鑑賞になってしまうとは…

同時代に生きた人間として、
やはり生演奏を間近で見たかった。
こんな人、当分出てこない。

幼いながらに、1番記憶に残っているのは、99年の壮大な実験オペラ「LIFE」。
今思い返しても、他のアーティスト、ミージシャンとは考えてる規模も世界観も全てが桁外れ。まだ10代の自分の中でも完全に異質の存在だった。
埴谷雄高「死霊」も原爆も、ラブロックのガイア思想も、併せ技で一つの作品として形を成せるのは坂本龍一をおいて他にいないだろう。

取り入れてくるテーマの奥深さも去ることながら、癌を患いながらもなお、音作りに打ち込む彼の直向きさに頭が下がるばかり。時折見せる子供のようなキラキラした眼差しが微笑ましくもあり、今は存在しないことを知り無性に悲しくなった。

津波のピアノに関する自論は凄い印象的。狂った調律は一体どちらなのだろうか?
自然とテクノロジーと、
一見相反する2つのテーマを元に、懸命に進化し続ける音楽、音の連なりを、最後まで追求していたんだろうな。
貫いた生き様に、今は感服するばかり。
Arsenyevich

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