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Ryuichi Sakamoto: CODAのtaromanのネタバレレビュー・内容・結末

Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

坂本龍一という人間を、もっとこの世に存在するうちに注視しておけば、という気持ちになった。

私が彼を知ったのはYMOがきっかけで、おもろい音楽つくる人やな、くらいの印象だった。

星野源の「おげんさん」がYMOとしての最後の演奏であった、と聴いたとき、その儚さを感じて、今日ふらっとこれを観に来た。

CODAの中で語られた「『不自然』への嫌悪感」「調律が狂うのではなく、自然に戻ろうとしている」という表現はすごく腑に落ちた。
人はみな原子の時代ではどうだったのか?
たしかに、環境問題はそういう意味ではまだ戻れる、立ち止まれる、変えられる。

私は、自分自身が非常に近代以降の社会に馴染み、それを受容し、それによって形を変えてきた人間であると自負している。
しかし、自分自身のやりたいことは本当にそうなのか?と問われれば、簡単に頷くことはできない。

彼は、ピアノの音が減衰するものである一方、減衰しないもの・ある種の永続性を求めているのかもしれない、と笑いながら語った。奇しくも2023年3月に、人生に終止符を打った彼が。

このCODA・終結部をこうして自らのすがた、ことばで示していく坂本龍一を、リスペクトせずにはいられない。
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