Benito

Ryuichi Sakamoto: CODAのBenitoのレビュー・感想・評価

Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)
5.0
【 教授のあくなき音楽探求の旅 】

教授が2023年3月28日に永眠されて1年。

2024年3月19日、ヤマハ銀座店で開催されていた教授が長年愛用された楽器との軌跡をたどる「坂本龍一のピアノ展:2024.3.13-3.28 」に行ってきた。改めて教授の魅力を感じ、同時にもういないんだ、という寂しさも感じた瞬間だった。

映画は、2012年から5年間にわたる密着取材記録。貴重なアーカイブ映像もたくさん観ることができる。YMO時代、出演映画、米同時多発テロ、東日本大震災、17年のアルバム「async」の制作現場、イニャリトゥ監督作「レヴェナント」の作曲への取り組み、他にも被災したヤマハのピアノ、「惑星ソラリス」、「シェリタリングスカイ」の場面、「LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999」のライブ映像に映る特製オペラピアノの演奏や背景に映るオッペンハイマーの姿、原発反対運動に参加する教授、闘病、ニューヨークの自宅、などなど ドキュメンタリー映画を超えた教授の音楽探求のドラマとして、見届けることができた。

アルバム「async」のなかの"fullmoon"という曲を制作する過程が映しだされ、作家ボウルズ自らが朗読する「シェリタリング・スカイ」の一節に重ねて教授がシンバルをバイオリン弓で鳴らす場面は印象的だった…


教授とは何度か仕事でお目にかかる事があって、2004年にバルセロナの音楽イベントSONARに同行した時の事は忘れられない思い出。


美しく、儚く、心に響く音楽をありがとうございました。教授の作品、これからもずっと聴いていきます。
Benito

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