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アトミック・ブロンドのvilljobbaのレビュー・感想・評価

アトミック・ブロンド(2017年製作の映画)
4.4
東西冷戦末期のベルリンが舞台。英国MI6のブロンド女スパイが、ソ連のKGBに盗まれた機密情報を取り返すために奮闘するスパイ映画。
見どころはシャーリーズセロンのカリスマ。加えてスタイリッシュなアクションと時代に合った音楽。

私の中で、シャーリーズセロンは特にTHE・金髪美女というイメージ。
ところが、私がシャーリーズセロンのファンである最大の理由は、その美貌ではなく彼女の女優としての能力の高さです。
圧倒的な目力を持つ悪の魔女、美をかなぐり捨てた連続殺人鬼(未見)、腹を刺されても挫けない坊主の女戦士などの目を疑う強烈な役から、リーアムニーソンのお尻の穴に菊の花を挿しちゃう天然ボケのカウガールまで……
それらを完璧に演じ切る彼女の姿からは、画面越しに無限の役者根性とカリスマが滲み出てきます。

本作で彼女が演じるのは、オシャレな服を着こなす金髪の女スパイ。
スパイ映画には、美しい女スパイというのは大切で頻出の存在ですが、彼女らは基本的には映画に華を与えるためのヒロインだったり、男がやり辛い色仕掛けを担当したりと、あくまで男スパイとの対比で描かれることが多い。
ところが本作のシャーリーズセロンさんは、腹を思い切りパンチされ血まみれになりながら、筋肉と銃で敵を倒していく。まさにマッドマックスのフュリオサのような"男らしい"役どころを女性が演じきる。
男スパイと差別化する存在ではなく、性別の差を全く感じさせない純粋なる「主人公」のスパイを演じている。
ワンダーウーマンの記憶が宇宙の彼方に消えていきそうなほどの、完璧な女性主人公像。

もちろん、女性らしさもバッチリ。個人的にドストライクなロングコート(色が似合いすぎ)とセクシーなシャツ、さらにはガーターベルトまで着けて敵を殴りまくる姿からは、神々しさすら感じる。
もう42歳なのに、今までのシャーリーズセロン映画の中で一番美しい化粧と金髪。サングラスまでかけちゃうし、観てるコッチは眩しいです。

次に、アクションの話。
序盤、ゴミ箱に放り込んだ敵を殴って気絶させるときの構えのポーズは、マジで様になってた。ホント格闘技強そう。
そんな私の期待に答えて終盤に見せてくれた、必見・スーパー長回しアクションは、圧巻の一言。
シャーリーズセロンの生々しくて痛々しい大迫力の格闘戦は、あまりに凄すぎて、スタントマンがやってるのかもなと思った。
観終わった後調べてみたら、さすがシャーリーズセロン様。全部本人が演じたそう。ホゲー
鑑賞する際は、アクションシーンにスタントマンを使ってないということを念頭に置いて観てみてください。

スパイ映画らしく、ドイツを舞台にロシア人、イギリス人、アメリカ人、フランス人と様々な人々が登場し、複数の言語が飛び交う世界。大好き。
BGMも、年代に合ったノリの良い曲が頻繁に流れるので盛り上がる。イングロリアスバスターズで使われた好きな曲も登場し、ドイツ語の曲が多いのもドイツ東西分裂感が増すので最高。
今のところ今年の劇場作品でナンバーワン。残念ながら12月にスターウォーズが待ち構えていますが……


シャーリーズセロンのファンの方が観たら、ゼッタイに神映画です。
ファンじゃない方が観たら、ファンになると思います。

(エッチなシーンもあるよ!)
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