くりふ

ヘルタースケルターのくりふのレビュー・感想・評価

ヘルタースケルター(2012年製作の映画)
1.5
【べつに。】

べつに期待もなく、沢尻や沢乳が見たいとも思わなかったので、劇場行かずDVDレンタルにしました。

予想よりは考えて撮られていましたが、堅くて、作品というより報告書を並べられた気分になりました。肝心の、りりこパワーがまるで感じられなかったのと、映像が私にはビンボくさく映ってしまったことが、大きく残念でした。

沢尻さん初登場の画で、始めに心を掴まれたのは、目の下のクマ(笑)。げ、そっから始めんのかよ!と滅入りましたが、後はやっぱり堕ちるばかり。

原作の、散々虐げられて号泣しても、それを逆ギレのように笑い飛ばし、世界に向け中指突き立てるりりこが、楽観的な絵柄と相まって好きでしたが、映画版りりこは、落ちて来る羽の中に埋もれるばかりで、全く羽ばたかない。

監督がりりこという人物の内実を、掴めていなかったんじゃないだろうか?で、沢尻さん本人にパワーを感じないから、上滑りにしか見えなかった。

だから監督の趣味が炸裂した、悪趣味なりりこ部屋に佇んでいると、りりこが背景の濃さに負けちゃっている。この美術は逆効果だと思った。唯一、ギトギトした内装のラブホで「仕事」したりりこが帰宅すると、そこがラブホの延長に見え笑えたけど。あ、窓の唇は少し気になりましたが。

沢尻ボディもべつに、という感じ。今時、一般人でもこれ位、いますでしょ。日本の女優って出し惜しみするから、見られることで磨かれてない気がする。内臓まで晒すAV嬢の裸の方が、よっぽど説得力あるぞと思っちゃいました。

お話としては、原作をそのままなぞってしまうと、もう古いんだと思う。

サイボーグ化してでも美しくなろうとする、タイガーリリー小型版は、すでに街中にたくさん生息していて日々、改造に勤しんでいるだろうから。べつにレベル美の沢尻さんは、その上に立つのは荷が重すぎるんじゃないか。

あと、重要キャラの寺島さんが、物語の外側で実に痛かった…。

寺島さんの強さが役柄より強く、好きであの仕事やってるように見えない。演じるほどにバカっぽく見えてしまい、気の毒だなあ…と思ってしまって。原作だと若気の至り、という面があった所で納得できたんですけどね。

などなど、私にとっては何だかなぁ、ばかりの映画でした。沢尻さんでなくエリカ様!と書きたくなるパワーが見たかった。

で、全体の感想を一言で、となるとやっぱり「べつに」となってしまうのです。

<2013.1.7記>
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